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乃木坂46「羽根の記憶」は、セカンドアルバム「それぞれの椅子」(2016)の収録曲です。作詞は秋元康さん。また、2015年夏に発売された12枚目のシングル「太陽ノック」の収録曲でした。
歌詞考察・・・羽根の記憶とは何か？
連綿と受け継がれている羽根の細胞記憶
タイトルから受ける印象は、ペガサスなど想像上の生き物の羽根でした。主人公が思い入れのある架空の生物に生えている羽根と考えたわけです。ですが歌詞を見ると架空の生き物は登場していませんでした。空は飛ぶためにある見上げるためじゃない軽やかに飛んでいる鳥を見て思う今僕にできること自分の背中には使ってない羽根がある記憶を信じること
この歌詞で、羽根が生えているのは、架空の生物ではないことがわかります。そして、羽根の意味がわかりました。「使っていない羽根」を「眠っている可能性」に言い換えると、主人公は、自分に可能性が秘められていると考えているのでした。ということは、主人公が見上げている「軽やかに飛んでいる鳥」は眠っていた羽根を広げた先達ということになります。
例えば、起業して大成功をおさめた経営者などです。そういった成功者を見ると、自分を卑下しがちでした。ですが、主人公は前向きな人間です。なぜなら、歌詞には、今僕にできること自分の背中には使ってない羽根がある、という表現があったからでした。
羽根を広げることができれば大空に羽ばたくことができると主人公は自分を信じているのです。まだ羽根を広げていないだけ・・・羽根をはばたかせることができれば、空を飛んでいる鳥に追いつくことができるはずだ・・・ということになります。
羽根の意味が自分の可能性とわかりました。ただ、「羽根の記憶」とはどんな記憶でしょうか。「羽根の記憶」は「可能性の記憶」と言い換えることができますがそれでもピンときません。まだ広げていない羽根ですから、それにまつわる思い出はないと思ったからです。
だから、タイトルにある「記憶」は「覚えている経験した事柄」という意味ではないことになります。覚えていない記憶でなければ後はDNAしかないですね。細胞記憶だと思いました。鳥なら鳥らしさ、人間なら人間らしさ、と連綿と受け継がれている細胞です。細胞には発現パターンがありました。だから歩いている鳥はやがて飛ぶものだという認識を持つことができます。それが分かるのが次の歌詞でした。
鳥だって大地に立ってただろうその時がやって来るまで待ってたんだいつの日か風が吹き始めたら生まれ変わる
「羽根の(細胞)記憶」を信じている主人公でした。飛べないのは羽根がないからだとは考えていないのです。飛べないのはまだ羽根を広げる段階ではないということになります。
終わりに・・・未来は自分の態度次第
無力感に苛まれている人への応援歌
「羽根の(細胞)記憶」を信じることで、いつか大空へ羽ばたけるのだと信じている主人公でした。これは、努力が報われない人への応援歌だと思います。自分だけ飛べないのに、頭上ではビュンビュン鳥たちが飛び交っていると自分はもう飛べないのだと卑下しがちですね。それでも、自由に飛んでいる鳥も、飛べない時期があったと考えて飛べるはずだと考えるか。それとも、飛べる羽根が背中に隠されているのに不貞腐れるか。「羽根の記憶」には、未来は自分の態度次第だ、というメッセージが込められていると思いました。 終わり