乃木坂46ユニット曲「忘却と美学」歌詞考察。何を忘却するのか | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

乃木坂46ユニット曲「忘却と美学」歌詞考察。何を忘却するのか

歌詞の意味を考察・・・何を忘却するのか


「僕」は戦場で傷を負った自分を、「友」に忘れてもらいたがっている


■忘却と美学
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乃木坂46ユニット曲「忘却と美学」は、3枚目のアルバム「生まれてから初めて見た夢」に収録されています。

歌詞は秋元康さん。

歌唱メンバーは、秋元真夏・高山一美の二人でした。



忘却は、忘れ去ってしまうことでした。そして、美学は、人間にとって美とは何かを考えることになります。

だから、「忘却と美学」は、忘却することに、美しさを求めるような世界観になっていると思いました。

では、何を忘却するのでしょうか。

乃木坂46は、恋の歌が多いです。

だから、初めは、「忘却と美学」の世界観を、勘違いしていました。

主人公が、失恋した事実を忘却することに、美しさを求めているのではないかと想像したのです。

そういうことで、次の歌詞を、「僕」が振られたことで負ったダメージを表していると誤解しました。

僕を置いて行くんだ 深すぎる傷口 きっとここまでの命 これ以上動けない

振られたことによるダメージの深さを、ここまでの命とオーバーに表現していると思いました。

ただ、「僕」は振られたのだという予想が間違ったと思わせる歌詞が次の表現です。

君を残して行けないこの肩に掴まれ! 引きずってでも連れてく真っ赤な痛みを決断しなけりゃ2人とも死ぬ

「僕」の心のダメージが深いのではありません。本当に、「僕」は、外傷を負っているのです。

では、なぜ「僕」は負傷しているのでしょうか。

ヒントになるのは、僕たちは美しい戦士 誇り高き男さという歌詞だと思いました。

「僕」は戦争で深刻なダメージを負ったのです。

立ち上った黒煙に進軍する戦闘機

それを踏まえると、次の歌詞の愛した月日の意味がわかりました。

諦めないぞ 連れて帰るぞ 愛した月日のすべてを

愛した月日の愛は、男女が互いに思い合うような、相愛の愛ではなかったのです。

「僕」と「友」が、互いに戦士としての価値を認めて労わる人類愛だと思いました。

だから「僕を置いて行くんだ深すぎる傷口」と言った僕に対して、友は戦士の愛を持って「君を残して行けないこの肩に掴まれ!」と声を掛けているのです。

そして、「僕」は、自分を置いていけと「友」に語っているのですから、「忘却と美学」は非常に切ないタイトルだと思いました。

忘却は、助からない「僕」を忘れるという意味なのです。

そして、友は、歌詞にあるように、忘却は救いになるのか 誰か教えてくれよ 歳月が過ぎても忘れられない 失った愛の存在は大きくて、と嘆いていました。

だから、「忘却と美学」は、自分を忘れてくれと訴えている「僕」を置いていくのは、「友」の美学に反するという意味になっていると思います。

深刻な外傷を負ったことで、自分を忘れて欲しいと願う「僕」。

「僕」を置いて、忘却するのは美学に反すると考えている「友」。

彼らが、美しい戦士と表現されている理由が、互いに思いやっているからだとわかります。 終わり