乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」歌詞考察。乃木坂46への帰り道 | のら猫ひろしが坂道のぼる (のら猫ひろし)

乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」歌詞考察。乃木坂46への帰り道

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今が思い出になるまで
乃木坂46の4枚目のアルバム「今が思い出になるまで」(2019)には「帰り道は遠回りしたくなる」が収録されています。作詞は秋元康さん。

「帰り道は遠回りしたくなる」は乃木坂46の22枚目のシングルとして、2018年の秋に発売されました。


ミュージックビデオの運命の分かれ道とは


「運命には分かれ道がある」という字幕が「帰り道は遠回りしたくなる」のミュージックビデオに表れています。MV では眼鏡をかけた西野七瀬さんがバスに乗り込んで始まるストーリーと、眼鏡を落としてバスに乗り遅れた西野さんのストーリーの2つが交互に描かれています。

眼鏡を落とさなかった西野さんは美術部の部員でした。彼女は武蔵野美術工芸大学へ進学します。

一方の西野さんは、眼鏡を落としてバスに乗れず意気消沈してしまいます。そこへ男性が声をかけました。彼は芸能事務所の名刺とアイドルオーディション募集のお知らせを西野さんに渡します。そして彼女はオーディションに合格しました。

つまり、運命の分かれ道の一方が普通の美術部員である西野さんが美術大学へ進学するという人生を描いているのです。そしてもう一方では、眼鏡を落としたことでバスに乗り遅れた西野さんがアイドルになったという人生が描かれていました。

このMV において、美術大生の西野さんもアイドルの西野さんも笑顔で終わっています。このことから、どんな人生も正解だというメッセージを感じました。実際に、西野さんはバラエティー番組において乃木坂46画王に選ばれるほどですから、あながち美術大生という人生も考えられなくもない設定ですね。

そしてアイドル篇のストーリーで、レッスン場に戻った西野さんに放った、秋元真夏さんの「お帰り」という台詞は、西野さんと秋元さんの不仲であった事実を思うと感慨深い演出となります。大学進学のために休養していた秋元さんが初めてのシングルとして「制服のマネキン」で復帰したことで確執が生まれました。なぜなら、秋元さんと入れ替わる形で西野さんは八福神から漏れてしまったからです。そういった経緯で西野さんと秋元さんは険悪でした。しかし西野さんは秋元さんに「お帰り一緒に頑張ろう」ということで、わだかまりが溶けたと言います。

歌詞考察


「帰り道は遠回りしたくなる」の歌詞はというと、主人公の「僕」と「君」が離れてしまう世界観になっています。この「僕」と「君」の関係は別れを決意した恋人といったところでしょう。そして、歌詞には、君と離れるのは悲しいけど大事な別れだ、とありますから、離れ離れになるのは悲しいようです。

そして離れ離れになるということは一緒にいられる時間が限られてしまうことになります。もう少し一緒にいたいから「帰り道は遠回りしたくなる」と言えます。ただし、この「帰り道」というのは、「君」と一緒に帰る道という意味ではなさそうです。

確かに、その道は「君」と過ごした道です。ですが、すでに別れを決意していますし、歌詞には、違う道を選んだ意味輝く未来のためと互いにわかるだろう、とあります。だから、離れ離れになることを決めた「君」との思い出に浸ることは、「帰り道は遠回りしたくなる」ことを意味します。ですが、それは「君」のいない新しい道に怯えているようで恰好よくありません。なので「帰り道は遠回りしたくなる」けれど新しい道を進んでいく強さが欲しいということになります。

終わりに・・・西野七瀬さんの心境


帰りたい場所として歌詞では、好きだった場所、やめられない漫画、居心地いい日向、君と会って過ぎる時間忘れるくらい夢中で話した僕の夢、というところでしょうか。しかし、居心地いい日向もいつの間にか影になって黄昏る、という歌詞があるように自分のいる場所が居心地のいいものではなくなったということになります。そして、「帰り道は遠回りしたくなる」と考えてしまうような、新しい環境に踏み込めるほどの強さがないから強くなりたいという世界観になっています。

また、「帰り道は遠回りしたくなる」は西野七瀬さんの卒業ソングでもありますから、「僕」を西野さんに置き換えると、帰りたい場所も、好きだった場所も、居心地いい日向も、時間を忘れるくらいに夢中で話した夢も、すべて乃木坂46を意味しているのがわかります。西野さんのラストシングルに相応しい曲と言えるでしょう。 終わり